プロジェクトマネジメントで重要なことは、限られた予算で決められた仕様の成果品を納めるために正しいプロセスを行うことです。
プロジェクトマネジメント問題なく進めるためには、最新の管理技術やスーパーPMの力量に頼るのではなく、適切なプロセスを適切に進めることがが必要です。
それでは、プロジェクトマネジメントの適切なプロセスを学ぶにはどうしたらよいのでしょうか。会社の先輩に教えてもらったり、PMBOKなどの体系的知識、過去の教訓などが役に立つでしょう。
見積精度の向上
プロジェクトマネジメントで重要なことの一つ目は、見積もりの精度です。プロジェクトが赤字になる一番の原因は、見積もりが甘い、ということにつきます。
そしてなぜ見積もりが甘いといわれるのか、その主な理由は、リスクを適切に見積もっていないか、プロジェクト期間中に仕様変更が発生したかのどちらかでしょう。
リスクを見込んで、かつ、仕様変更に耐えうる見積もりを提示するのが重要なことです。
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▶プロジェクトリスクマネジメントの基礎
そもそも見積もりはプロジェクトマネジメントの大前提となる予算であり、適切な理由があればコストがつけるのが至極当然のことです。
プロジェクト計画時に、リスクや変更が見込めるのであれば見積もりに入れない理由はありません。
プロジェクト開始後に、契約時に見積もっていない作業を要求されると、対応せざるを得ないというのが実情でしょう。どんなに忙しくても無償対応の作業と仕様変更は明確に異なります。それが仕様変更であれば、きちんと説明して納得してもらう努力をしなければなりません。
また、人月工数の見積もりは、営業と技術を含めて必ず複数人でレビューしましょう。なぜなら見積もりは人によって数字が揺れるからです。この数字は、工数が大きいほど影響が大きくなります。絶対に気をつけて下さい。
※いわゆる人月の見積もりに自信のない方は、ぜひ人月の神話をお読みください。こちらはプロジェクトマネジメントには必見の名著です。
スコープの明確化
明確なスコープの定義もプロジェクトマネジメントで重要なことです。いわゆる仕事の範囲がダイナミックに変化するとプロジェクトの目的が変わってしまうためです。
スコープ定義とは、一言でいえば、プロジェクトにおける作業範囲の明確化です。
プロジェクトは生きているとも言われるほど、常に変化するもの。状況や環境は常に同じではありません。
プロジェクトの期間中においてもスコープ管理は徹底すべきです。スコープ定義はプロジェクト開始時のみの作業ではありません。
いわゆるウォーターフォールではないアジャイル開発の進め方を理由に、ユーザーから柔軟な対応を求められることがあるかもしれませんが、アジャイル開発は仕様変更の理由になりません。
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▶【アジャイル開発】スクラム基礎講座
プロジェクトマネジメントにおいて重要なことは、大幅な仕様変更が発生した場合に対するコンティンジェンシープランを用意しておくことです。
想定外のリスクを数え始めたらキリがありませんが、適切なコンティンジェンシープランを策定し、発動する基準を明確にすることがプロジェクトの成果を守ってくれます。
なお、スコープ範囲外の作業は、たとえお客さんのために良かれと思っても、プロジェクトマネジメント的にはやるべきではありません。手を付け出したらすぐには終わらない可能性があるからです。
プロジェクトのデッドラインを守るためには、仕事として割り切って心を鬼にする必要があるのです。
コミュニケーションエラーの防止
円滑な意思疎通のを行、コミュニケーションエラーを防止することもプロジェクトマネジメントで重要なことです。
ITプロジェクトはPMだけの力だけでは成し遂げられません。プロジェクトメンバーの力を合わせることで、最終的な納品までたどり着くことができるのです。
そして、プロジェクトメンバーの力を合わせるための方法は、コミュニケーションにつきます。メンバー間の認識齟齬をきちんと無くすことが、作業の手戻りを無くし、プロジェクトの進捗を稼ぎます。
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▶ステークホルダーマネジメントとコミュニケーションマネジメントの基礎
また、コーディングやテストなどの作業に集中しているとコミュニケーションが怠りがちになるものですし、割込み業務対策や仕事に集中するために、閉じこもるタイプの社員もいます。
特に技術系のメンバーのコミュニケーション能力が抜群に高いことはレアケースだと思います。
コミュニケーションロスを防ぐ方法は、コミュニケーションルールの明確化です。具体的には、会議ルールを書面に起こすことです。
プロジェクトマネジメントをきちんと行うためには、最低限、週に1回は定例会を開催して、プロジェクトの課題と進捗を確認する必要があります。
一般的にはコミュニケーションには相乗効果があるといわれており、ルールのあるコミュニケーションがオープンな意思疎通を促進するものです。もしかしたらアプリ担当が知っている豆知識がインフラ担当の課題を解決する可能性だって大いにあります。
プロジェクトを混乱させないためには、まずコミュニケーションロスを防ぎましょう。
※プロジェクトが一度デスマーチになると、事態を収拾するのがかなり難しく状況は本当に悲惨なことになります。重要なことはデスマーチは発生させないことです。
まとめ:私たちはよりよく働いていける
いくら研修を受けていても自己流でのプロジェクトマネジメントを続けていてはいつか大きな失敗に繋がります。そして失敗を防ぐ方法の1つは先人たちの教訓を活かすこと。
私たちはよりよく働いていけるのです。
体裁が整えられたプロジェクト報告資料以外に目を通す以外も、過去プロジェクトのロールプレイをしてみるといつもとは違った視点で物事が見えてきます。そうすれば広い視野を持ったプロジェクトマネージャーとして成果を出していけることでしょう。