タスク管理が下手な人の特徴とは？上手くいかない原因と改善方法を解説

仕事を効率的に進めるためにどうすればよいかお悩みではありませんか？

一般的に仕事を効率化するためには、タスク管理を覚える必要があるといわれています。

仕事の優先順位が上手くつけられない方や、仕事の手戻りが多い方、自分だけ仕事を抱えがちな方は、この機会にタスク管理を身につけてみてはいかがでしょうか。

当記事ではタスク管理が苦手な人の共通点を洗い出し、タスク管理が上手くいかない原因と改善方法について詳しく解説します。

また、単なる言葉の説明にとどまらず、ご自身のペースでスキルアップできるようにおすすめの学習コンテンツもご紹介しています。ぜひご活用ください。

タスク管理とは｜用語解説

タスク管理とは、大きな仕事を管理しやすいタスク（具体的な作業）に細分化し、優先順位・担当者・期日・ステータスなどの属性項目を付与して効率的に仕事を管理するための考え方です。

一般的にはタスク管理を行う、というとTODOリストやガントチャート、WBS（Work Breakdown Structure：作業分解構成図）を作成することを指します。広い意味ではカレンダーのスケジュール管理や時間管理、手帳、ノート、付箋によるアナログな仕事術も含みます

また、現在はさまざまな便利なタスク管理ツールがあり、タスク管理が上手な人は自分に合ったアプリやサービスを使っています。

タスク管理が下手な人の特徴と原因

ここではタスク管理が苦手な人に共通する特徴と原因について解説します。

頭の中だけでタスク管理をしている

タスク管理が苦手な人は、頭の中だけでタスク管理をしがちです。

自分が抱えている仕事の量が少なければ問題ありませんが、1人の人間が持てる記憶力には限界があります。

特に複数のプロジェクトを同時並行してマネジメントしなければならない場合には、すべてのタスクの進捗ステータスを横断的に把握するのは現実的に不可能です。

これは日常的なトレーニングでかなり改善されます。自分のやるべきTODOをノート・付箋に一覧化するなど、ちょっとしたゲーム感覚で気軽に始めてみましょう。

仕事を大きなかたまりで捉えてしまっている

仕事を大きなかたまりで捉えてしまっていることもタスク管理が苦手な人に共通する特徴です。

仕事はどんなに大きくても分解していくと小さなタスクの集合体です。

仕事を具体的な作業にブレイクダウンすれば、仕事の内容の見える化が可能になり管理しやすくなります。

例えば、「見積書を作成する」という仕事があるとします。この仕事を終わらせるためには、見積書フォーマットの作成、関係者の巻き込み、見積費目の洗い出し、見積番号の取得、など、小さなタスクをそれぞれ完遂しなくてはなりません。

これを「見積書の作成」と漠然と捉えたままにしておくと、いつまでに誰がどこまで作業を進めなければいけないのか分からず（5w1h）、トラブル発生の原因になりかねません。

仕事の優先順位がつけられない

タスク管理が下手な人は、仕事の優先順位がうまくつけられない場合が多いです。

仕事の優先順位のつけ方を間違えてしまうと、本来すぐに着手すべき仕事が後まわしにされる可能性もありますし、後回しにされた仕事がそのまま放置し忘れてしまう恐れもあります。

優先順位をつける方法は、「重要性」と「緊急度」という2つの指標を軸に仕事を４象限に分類する「アイゼンハワーマトリクス」と呼ばれるメソッドがおすすめです。この手法については、ビジネス書のベストセラー「7つの習慣」でも紹介されています。

もっとシンプルな手法がお好みならデビッドアレンが提唱する「GTD（Get Things Done）」も素晴らしいベストプラクティスです。こちらも名著「ストレスフリーの仕事術」で解説されており一読の価値があります。

もし緊急性が低い仕事を優先的に進めてしまったり、重要度の高い仕事を後回しにしてしまうと、手戻りが発生したり、求められている期日に間に合わないことになってしまいます。

自分の思うがままに仕事を処理していくのではなく、ベストプラクティスと呼ばれているフレームワークを活用すれば、今よりもっと効率的に仕事が進められるようになるでしょう。

タスク管理が下手な人に起こりやすいトラブル

タスク管理が苦手な人に起こりやすいトラブルを解説します。具体的にQCD（品質・費用・納期）の観点から見ていきましょう。

仕事の品質が下がる

仕事の品質が下がってしまうことは、タスク管理が上手く出来ない人に起こりやすいトラブルのひとつです。

仕事の品質を担保するためには、ある程度まとまった時間を確保して集中して作業に取り組む必要があります。

しかし、タスク管理の工夫がなされていないと、仕事の優先順位や、その日に自分が何をどこまでやったらよいのか把握できていないことになるので、重要なタスクに適切な時間がかけられないことになります。その結果、作業内容や成果物の品質が下がってしまう恐れがあります。

ちなみにQCD（品質・費用・納期）という考え方からすると、品質の問題は費用や納期よりも優先して守られるべきだと言われています。これは成果の品質を守れば費用は増加しますし、最短納期で仕事をすれば品質は低下するためです。

無駄な作業やコストが増える

タスク管理が出来ていないまま複数の仕事を進めていると、無駄な作業やコストが増えてしまう恐れがあります。

なぜならタスク管理によって業務効率化が行われていれば、プロジェクト全体を見通して仕事の前後関係を正確に把握できるので、無駄な手戻り作業の発生を防げるためです。

タスク管理が出来ていない人は、タスクの優先順位・目的・期限を分かっていないため、着手するまでに時間がかかったり、ずるずると仕事を抱えてしまって、無駄な残業を増加させてしまう可能性があるのです。

仕事が期限に間に合わない

タスク管理が出来ていないと、仕事が期限オーバーになってしまうトラブルが起こりやすくなります。

タスク管理が出来ていないと、仕事が他人に依頼しずらく効率的に仕事が進められません。また、突発的な割り込み作業が発生したときには、大幅な時間が取られることになり、スケジュール破綻に陥る可能性があります。

反対にタスク管理が出来るようになると、大きな仕事が細分化されて他人に依頼しやすくなります。また、全体を見通しながらタスクに優先順位をつけられるので、手戻りなく効率的に仕事が進められるようになります。

タスク管理が苦手な人が見落としがちなポイント

ここではタスク管理が苦手な人が見落としがちなポイントについて解説します。

タスク管理能力は勉強しなければ身につかない

タスク管理が苦手な人は、普通に仕事をしていればタスク管理能力が自然と身につけられると根拠もなく楽観的に考えてしまいがちです。

そもそもタスク管理能力は、意識的に勉強しなければ身につくものではありません。タスク管理が上手な人は、本やセミナーを受講してスキルを身につけているものなのです。

タスク管理のようなどこでも使えるポータブルスキル（業種や職種が変わっても通用する持ち運び可能な能力）は、費用対効果がかなり高く、学んでおいて損はありません。この機会にぜひタスク管理を覚えて使えるようになりましょう。

ほとんどの職場のトラブルはコミュニケーション不足が原因

仕事上のトラブルの大多数はコミュニケーション不足が原因である、という点もタスク管理が苦手な人が陥りがちなポイントです。

仕事の依頼者と作業者でコミュニケーションがうまくとれていれば、お互いの状況も把握しやすくなりますし、タスクのステータス管理など作業者の負担が軽減できるためです。

例えば、作業依頼を受けてから作業の着手までにある程度時間が経ってしまった場合でも、すでに依頼事項が変わっている可能性もあるので、まだ作業に取り組んでいなくても仕事の依頼者とコミュニケーションを図ることが、トラブルの未然防止につながります。

仕事の依頼者と作業者の認識齟齬を防ぐために、円滑なコミュニケーションを図りましょう。

タスクに取り組む前に仕事の期待値コントロールが必要

タスク管理が苦手な人は、仕事にはコントロールできる期待値が存在するという観点を見落としがちです。

一般的には、仕事の依頼者はこれくらいの成果が出てくるだろう、というある程度の期待値を持って仕事の依頼をしてきます。そしてこの仕事の期待値を超えた成果を出せるか否かがあなたの仕事の評価につながります。

仕事の期待値コントロールとは、仕事の依頼を受ける前に、意図的に相手が求める仕事の期待値を下げるようにコントロールすることで、結果的に相手の満足が得ることです。

もしあなたが仕事を一生懸命頑張っていても、周囲から良い評価が得られていないのでしたら、仕事の期待値コントロールがうまく出来ていない可能性があります。相手が求める期待値がどの程度のレベル感なのかをヒアリングしてからタスク管理や作業に取り組みましょう。

タスク管理が上達するコツ

ここではタスク管理が上達するコツをご紹介します。タスク管理が苦手な人が克服できるように基礎的な情報からまとめました。ぜひご覧ください。

達成するべき目的を明確化する

まずは達成するべき目的や目標（仕事の最終的なゴール）を明確にしましょう。これが一番大事なことです。

仕事のゴールが未確定のままでは、どこに向かって各タスクを進めていったらよいのか分からないため、まずは達成するべき目的を明確にすることからタスク管理を始める必要があります。

分かりやすい例としては、来月社内向けに勉強会を開催する、という仕事があった場合に、仕事のゴールを勉強会開催とするのか、勉強会開催後の実施報告書の提出とするのかで、管理するタスクが変わってきます。

そもそも目的を達成するために効率的に仕事を進める手法がタスク管理です。どのような仕事も場当たり的な対応ばかりしていては、ずるずるといつまでも仕事が完了しないでしょう。

すべてのタスクを洗い出す

達成するべきゴールが定まったら、必要だと思うタスク（具体的な作業）を洗い出して一覧化しましょう。

すべてのタスクの洗い出しをする目的は、仕事の全体像を明確化することです。設定したゴールを達成するためには、どのような作業をやらなければならないのか把握する必要があります。

あまり最初から難しく考えずに思いつく限り書き出してみましょう。また、タスク洗い出しの漏れ防止のために、第三者にチェックしてもらうと安心です。

出来るかぎりタスクを細分化する

タスクは出来る限りブレイクダウンして細分化しましょう。具体化することで情報がシンプルになり、煩雑にならずに済みます。

タスクの粒度は具体的になればなるほど、作業がしやすくなりますし、他人へ依頼することも可能になります。タスクを細分化することは、心理面で仕事に取り掛かるモチベーションを上げる効果も期待できます。

例えば、タスクをサブタスクに分けたり、洗い出したタスクの一覧を見て具体化できそうであれば、細分化すればよいのです。

タスクに優勢順位をつける

各タスクには、適切に優先順位をつけて取り組めば、効率的に仕事が進められます。

優先順位をつける方法は「アイゼンハワーマトリクス」というフレームワークを使いましょう。これはタスクを重要性と緊急性によって4象限に分類することで、優先順位と対応方法を決める手法です。具体的なイメージを以下に示します。

この「アイゼンハワーマトリクス」によって設定されるタスクの優先順位は[1.]＞[2.]＞[3.]＞[4.]です。

優先順位の高い仕事（重要かつ緊急なタスク）から順に処理していくことで、仕事全体の期日を守ることが出来るでしょう。

タスクを分類して整理する

洗い出したタスクは同じカテゴリで分類して整理しましょう。

大量にリストアップされたタスクは同じ種類のカテゴリにまとめておくと、一度に集中して処理できるため、効率的に仕事が進められるようになります。

例えばタスクを分類する方法としては、仕事の優先順位・仕事の期限・作業の種類・仕事の依頼先など管理に必要な項目で整理するのがよいでしょう。

無理のないスケジュールを立てる

タスクの計画を立てるときには、無理のないスケジュールを立てましょう。

ビジネスの現場では、クレーム対応や問い合わせなど想定外の割り込みが発生する可能性もありますし、複数人が関係している仕事では、自分の力だけではコントロールできない要素もあるためです。

また、タスクの期限に適度な余裕が無いと、仕事の品質よりも期限が優先されてしまい、アウトプットの品質が極端に下がってしまう可能性もあります。

各タスクの期限には、作業時間にバッファを持たせて無理のない期日を設定しましょう。そうすることで、想定外のトラブルの対応や期待通りの品質を守ることができます。

タスク管理が上手い人が決してやらないこと

ここではタスク管理が上手い人がどうやって業務改善を図っているかについて解説します。

メールでタスク管理をしない

タスク管理が上手な人は、専用のタスク管理ツールを利用し、Microsoft Outlookなどメールアプリを用いてタスクを管理するようなことはしません。

メールの受信ボックスを利用したタスク管理の手法は、タスクの分類・緊急度・重要度が、メール本文を読み取らなければ分からないため、非効率です。また、重要な情報を見逃してしまう可能性もあります。

例えば、今週の金曜日までにやらなければならないタスクが何件あるか、という状況確認をするだけでも、かなり時間がかかってしまうことでしょう。

メールではなくタスク管理ツールを利用しましょう。メールは便利ですが、あくまでもコミュニケーションツールですので、タスク管理の用途に特化していません。

マルチタスクを避ける

タスク管理が上手な人は、シングルタスクで仕事を進め、マルチタスクで仕事をすることを避けます。

研究結果によると、マルチタスクというものは人が行う情報処理の方法には適していないと証明されています。人間は複数のタスクを同時に処理できるわけではなく、ものすごく短い時間で脳のスイッチを切り替えて複数のタスクを処理しています。この切り替え時間が大量に蓄積してしいくと、生産性の低下につながるとも言われています。

あれもこれも同時にやろうとして、結局のところ何も成果が出せなかった、ということはよくあることではないでしょうか。

マルチタスクは、効率的なように思われがちですが、実際は生産性を大幅に下げる行為なので避けるべきでしょう。

まとめ

タスクを滞留させない仕組みを作ることが大切。タスクは自分のところに滞留させるほどに膨らんでいくものです。時間が経過するにつれて、周囲からの期待値や求められる品質もどんどん高まってきます。

仕事の完了基準を自分の納得においてはいけません。完璧主義者のようにこだわっていては、タスクをクロージングできません。完璧主義になることは絶対にやめてください。

もし仕事が自分に滞留することが多いのであれば、ボールを動かし続けましょう。中途半端な状態のタスクを抱えていると首が回らなくなります。仕事を抱えすぎないバランス感覚を維持しましょう。そして出来る限りそのやり方を継続することです。仕事をやりきった時の充実感は次の仕事へのエネルギーにもなってくれるでしょう。